記事紹介2020年02月20日
2月8日付け日経新聞によりますと、国土交通省は2022年までに、適切にマンション管理が行われている物件を「認定」する制度を始めるとのことです。
日本では、今後さらに築年数が経過したマンションが増え、20年後には築40年を超えるマンションが現在の4.5倍の約370万戸にも膨らみます。
今回はこの「認定」制度が、中古マンションや住宅ローンにどのような影響を与えるのか予想してみたいと思います。
■ますます増える中古マンション、維持・管理に格差
日本では今後、築年数が経過し老朽化したマンションの維持・管理が、社会的な問題となってきます。
確かにマンションは鉄筋コンクリートで作られているため、適切に維持・管理すれば、50年以上は問題なく暮らせます。
しかしマンションの管理に関しては、マンションの所有者で作る「管理組合」に任せているため、マンションごとの維持・管理の状況がわかりにくくなっています。
日本でも欧米のように、中古資産を有効活用するためにも、マンションの維持・管理を国が「認定」することは、透明性を高める上でもメリットがありそうです。
■消費者は「認定」物件が中古マンション選びの基準に
そして国土交通省が期待しているのが、「認定」物件が中古マンション選びの基準になることで、中古マンション全体の維持・管理を底上げすることです。
当然ながら消費者は、将来の資産価値などを考え「認定」物件を優先的に選ぼうとしますので、「認定」物件となった中古マンションの価格は上昇します。
一方で、「認定」物件とならなかった中古マンションは資産価値が落ちますので、維持・管理に努め、「認定」物件となるためのインセンティブが働きます。
結果的にマンション同士が競い合うことで、良質な中古マンションの供給を増やす狙いがあります。
■住宅ローンでも「認定」物件には金利優遇などの特典
住宅ローンでも、政府系金融機関である住宅金融支援機構が提供する「フラット35」などでは、「認定」物件に対する金利優遇などが検討されるでしょう。
また「認定」物件は資産価値が落ちにくいことから、他の中古マンションよりも、融資可能額が増えるなどのメリットも期待されます。
■どのように普及させるか、行政の手腕が問われる
この制度は「管理計画認定制度」として、今の通常国会に提出予定の「マンション管理適正化法」の改正案に盛り込まれる予定です。
ただし法が成立後、「認定」物件をどのように増やすかはこれからの取り組みで、「認定」物件に価値がなければ普及しません。
この制度には、国以外に地方自治体も参加するようですので、マンションという民間資産にどのように折り合いをつけていくのか、要注目と言えそうです。
(マネーの達人より引用)