記事紹介2019年10月09日
マンションの住み替えの実態について、すむたすが住み替えによるマンション売却経験がある30代以上の男女312名を対象とした調査を実施した。その結果、売却金額に不満を感じた人が多いことが分かった。詳しい結果とマンションを売るときのポイントについて、考えていこう。
■マンションの売却活動の不満は金額の低さ
「住み替えの売却活動で不満を感じた点」を聞いたところ、約70%が何かしら不満を持っており、最も多かったのは「最終的な成約金額が想定よりも低くなった」(26.0%)、次いで「見積もり時の査定金額が低かった」(19.9%)だった。
いずれも、「成約価格」や「査定価格」など、住まいの売却金額に関する不満で、「査定価格と最終的な成約金額が大きく乖離していた」も11.2%あった。
■売却期間が長いほうが、成約価格が査定価格より下がる傾向に
売却活動において、売り出し価格を決めるときに参考にするのが、不動産会社が見積もる「査定価格」だ。査定価格は、周辺の類似物件の過去の成約価格やその時点の相場の動きなどを基にして、不動産会社がマニュアルに沿って算出する。査定価格を参考に、もっと高く売れるのではないかとか、早く売りたいので査定価格でよいなど、売主の意向を受けて「売り出し価格」を決める。
売り出し価格ですぐに売れる場合もあれば、なかなか売れずに売り出し価格を下げていく場合もある。最終的な「成約価格」は、買いたいという希望者と売主との間の条件交渉などを経て決まる。
では、成約価格は査定価格と比べてどうなったのだろう?
査定価格と成約価格の差分割合を聞いたところ、覚えていないという人も多いのだが、最も多かったのは「0%(ほぼ同じ)」の24.7%だった。査定価格が参考になることが分かる結果だ。
一方、査定価格と成約価格で差が出た人では、上がった人より下がった人の方が多く、10%程度下がった人が多いことを考えると、「査定価格と同程度~1割ダウンで売れた」事例が多かったということになる。
実は、査定価格との開きは、売却期間によっても変わる。
売却期間を3カ月未満と以上で分けたところ、3カ月未満で売却できた場合よりも、3カ月以上かかった場合のほうが成約価格の下落が大きいことが分かる。時間をかけたほうが高く売れるわけではなく、むしろ下がる可能性が高いということだ。
■複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる会社と相談しながら売却活動を
さて、「3カ月」が分かれ目になるのはなぜだろう?
前提として、不動産会社に売却を依頼する「媒介契約」の契約期間が一般的に「3カ月」になるという点が挙げられる。つまり、不動産会社が提示する査定価格も、3カ月以内に成約させるという想定で算出されている。
また、売り出し価格の設定の問題もある。高く売りたいと査定価格よりかなり高い価格を設定してしまうと、相場より高めに見えてなかなか買い手が見つからないということがある。その場合は、じりじりと価格を下げることになり、むしろ値下げを続ける物件と見えてしまうリスクが生じる。
やはり、査定価格を参考にあまり相場からはずれない価格で売り出し、3カ月以内の成約を目指す、のがよいということになる。
しかし、あくまで査定価格が信頼できるという前提だ。まれに、売却を依頼してほしいからと相場より高い価格で査定価格を提示する不動産会社もある。
そこで筆者は「必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格の根拠を説明してもらい、その説明を聞いて信頼のおけると思える不動産会社を選んで、よく相談しながら売却活動を進める」ということをオススメしている。
今は簡単にインターネットで査定価格を出してもらうことができるが、提示された価格だけではなく、説明を聞いた上で「納得のいく説明をしてくれるか」「地元の相場に詳しいか」を決め手に、不動産会社を選ぶのがよいだろう。
さて、売却活動の不満を聞いた調査結果では、金額にかかわること以外にも、売却活動の期間が長期化すること、最終的にいくらで売れるかなかなか確定しないことなどの不満も多くあった。
売却した額を次の住み替え先の資金に充てたり、次の住み替え先の売買契約の時期が迫っていたりと、それぞれに事情があるので、売却時期や金額が確定しない不満や不安を感じる人も多いのだろう。そうした事情をきちんと理解した上で、適切なアドバイスができる不動産会社を選びたいものだ。
(suumoジャーナルより引用)